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歌・唄・詩

2024年8月 1日 (木)

たまには「精神の貴族」の詩を味わいたいー  「貧乏もの借金もの質屋もの」詩人の山之口藐さん

たまには詩心も。それにはやはり山之口藐さんかー。「戦後詩の長女」と呼ばれる詩人・茨木のり子さんは藐さんのことを「精神の貴族」とか評していたはず。それにしてもご自身でも書いているが、藐さんの「貧乏もの詩人」の詩は、なんというかー。ともあれ、その代表的な「貧乏もの」の詩をアップしたい。Dscf5125jpg1

 

 

 

詩 年越の詩(うた)

        山之口貘

                                                     

詩人というその相場が

すぐに貧乏と出てくるのだ

ざんねんながらぼくもぴいぴいなので

その点詩人の資格があるわけで

至るところに借りをつくり

質屋ののれんもくぐったりするのだ

書く詩も借金の詩であったり

詩人としてはまるで

貧乏ものとか借金ものとか

質屋ものとかの専門みたいな

詩人なのだ

ぼくはこんなぼくのことをおもいうかべて

火のない火鉢に手をかざしていたのだが

ことしはこれが

入れじまいだとつぶやきながら

風呂敷に手をかけると

恥かきじまいだと女房が手伝った

                                                     

 もう面白くて、情けなくて、笑ってしまい、泣けそうで~。貘の詩にはこんな詩が、貧乏の詩がかなりあるが(「ものもらひの話」とか、ずばり「借金を背負って」など)、「年越の詩」は別格のように思える。

 確かに「詩人」とくれば、「金持ち」ではなく、「貧乏」。さらに青白い顔で、やせていて、力がないといったイメージか(貘の顔は哲学者のようだが~)。「貧乏」なので、詩人の資格があると、言ってみてしまう。そのうえ「貧乏もの借金もの質屋ものとかの専門みたいな詩人」とも。

 時代小説に「武家もの」とか「町人もの」とか、そういわれる分野がある。だが、まさか、詩に「貧乏もの・・・もの・・・ものとか」もあるまいに。でも、貘が書くと、ほんとうに詩にそんな専門の分野がありそうな気がしてしまうから、不思議だ。

 同時に年末に火鉢まで質屋に入れようとするのに、妻もあきれた様子で手伝う場面も詩に。それでもなんだか、暗くなく、透明な空気が流れている。これほど貧乏なのに、そうして自分も貧乏であることがわかっているのに、貧乏くさくない。これは、貘の、さらに貘夫婦の愛すべき人柄なのだろう。

 私にしても、学生時代はいつもぴいぴいしていた。せっかく訪ねてきた友人と焼き鳥屋に行こうとしても、だいたい資金はゼロ。仕方なく、本棚から「高橋和己全集」とか「吉本隆明全集」から抜き出した何冊かを抱えて、古本屋へ(今となってはそれらの本を手放したのが惜しい)。そのわずかな金で飲みあったことが何度もあった。

 そうして飲んだ焼き鳥屋の日本酒の美味かったこと(青春の苦い味があったからかもしれないがー。今でもときどき、その美味さを思い出すほどだ)。だが、まだ学生の独り者だっただけに、古本屋や質屋に通うのも、それはそれでありだ。ところが、貘は所帯を持ってからも、そうだったというのだ.。

 本気だか、冗談だか。ほとんどわからない、めんくらったこの手の貘の詩に「自己紹介」がある。わずか6行の詩だが、さまざまに思いを巡らせることができる詩だ(ただ、「砂時計」は、この詩にある「びんぼう」と「自惚れ」の関係については、、半可通で理解しているのかもしれない)

詩 自己紹介

        山之口貘

                                                      

ここに寄り集まった諸氏よ

先ほどから諸氏の位置に就て考へてゐるうちに

考へてゐる僕の姿に僕は気がついたのであります

                                                     

僕ですか?

これはまことに自惚れるやうですが

びんぼうなのであります。

 

 

2024年7月31日 (水)

「アングラの女王」・浅川マキを思い出してー   リズム感いっぱいの「オールドレインコート」

ふと、浅川マキを思い出してー。「アングラの女王」と呼ばれた浅川マキを知っているだろうか?

「客席にはストーブが欲しかったが、それでも、みんなゴザに座って酒を飲んだりしていた。一升瓶の15本はまたたく間に売り切れて、冷えが少しづつ会場を犯していくのがわかる。早く始めようよ、と、云う催促の声が荒い拍手に混じって控室にも聞えてきた。わたしは、きょうは大変だぞ、と思った。舞台に上がっていったとき、照明のわずかな光量がひどく暖かかった。『つのだ ひろ』。わたしが大きな声で紹介すると、彼は力強く登場した」(浅川マキ) 
        
 浅川マキが京大西部講堂で歌ったライブのCD「浅川マキライヴ 夜」の歌詞カードにある彼女自身の当夜の模様だ(もともとは1978年のレコード「浅川マキ・ライヴ・夜」)。
 浅川マキの歌のいつくかは、自然に口をついて出たり、口笛を吹いたりしてしまうフレーズがある。そのひとつが「オールド レインコート」(日本語詩 浅川マキ 作曲R・Stewart)。歌の途中や最後に繰り返される「そうさ 人生甘くはないさ そうさ人生甘くはないぜ」というフレーズだ。 
    
 453313972_7821035934691852_3817124529588 この歌「オールド レインコート」のリズム感のあること。いわゆる暗い雰囲気の歌が続いたあとに、この歌が流されると、もう心はウキウキ。詩は別に祝祭的なものではない。むしろ、聴く側に「おまえはどうなんだ?」「それなりの覚悟があるのか?」、最初にそう問いかける歌だ。
 だが、途中から「それされあれば、なんとかなるさ」という、浅川マキらしい、開き直りの歌になっていく(そう、こういうところが私は彼女の歌が好きだったのかもいしれない。70年代中盤は「半年先」のことも、実際わからなかったからだ)
オールド レインコート
            日本語詩 浅川マキ
おまえは かって
荒れ狂う川の激流に身震いしただろうか
そそぐように降る雨のなか
旅をしたことがあっただろうか
旅をしたことがあっただろうか
     おまえはおいらのような男と
     連れ立って雪の積もった墓場を
     見たことがあっただろうか
     そうさ 人生甘くはないさ
     そうさ 人生甘くはないさ
だけど おいらはここまで来たのさ
古いレインコート肩に
どんなときでも これさえあれば
なにも怖れることはないさ
なにも怖れることはないさ
     古いレインコートは あるのさ
     おいらのこころのずっと奥に
     どんなときでも これさえあれば
     何も怖れることはないさ
     何も怖れることはないさ
おまえはおいらのような男と
連れ立って雪の積もった墓場を
見たことがあっただろうか
そうさ 人生甘くはないさ
そうさ 人生甘くはないさ
そうさ 人生甘くはないぜ
そうさ 人生甘くはないぜ       
「浅川マキさんの訃報に接した時、混沌としつつも面白かった時代の象徴が一つ記憶の彼方に消え去ってしまうようなやるせなさを感じました(中略)浅川マキさんの歌は、開き直りの退廃、理不尽な権力に対する必死な悲関与、誰を傷つけることを意図しない反逆、本来極めて常識的と認知されるべき非常識、あるいはそれらの勧め、そんな感じで僕は受け止めています」
 抽象的な例えがうまい。というか、的確だと思う。言葉が生きている。そう思う彼女への惜別のことばだ。だれが書いたかと思ったら、「シクラメンのかほり」などで知られる小椋佳だった(『ちょつと長い関係のブルース 君は浅川マキを聴いたか』の「ちっちゃな時から・・・」から)。

 

2024年6月21日 (金)

やはり「ビル・エバンス」を選んでいます  季節ごとの我が家の「CD50枚」入れ替えで

きょうは我が家に1200枚あるCDから季節ごとに入れ替えているCD50枚を選びました。すぐに手が届くように。ビル・エバンス・トリオ、ジョー・チンダモ・トリオや・コンテンポラリーモーツァルト、喜多郎、ボサノバベストなど。今回はふだん聴くことが少ない6枚組のショパンもあった。ただ、結果的にだが、いつもビル・エバンストリオの演奏を複数枚選んでいる。彼の演奏には外れがないからかー。それと城達也がナレーションのジェットストリームやジョージ・ウィンストンも。 Photo_20240621224401 2448803558_7609109905884457_451547532474 448890746_7609109902551124_8958802048768 448806919_7609205449208236_6547649775350

2024年6月 5日 (水)

深夜にぴったり城達也「ジェットストリーム」   CD10枚組の「碧空」や「さらばローマ」が

514qqrfdsl_uf10001000_ql80_ ジェットストリームは今も10枚組のCOで聴いています。「シェルブールの雨傘」「さらばローマ」「珊瑚礁の彼方に」「碧空」が特に良く、ふだん聴く手元の50枚の中にいつも。確か10数年前に静岡県熱海駅出口で買い求めたことを覚えている。我が家にある1200枚のCOをときたま入れ換えているが、名調子で聴かせる城達也さんのこのシリーズは手元の50枚から外せないでいる。もっとも聴くのはだいたいがワイン片手の深夜になってからだが。 51jc6khqiyl_uf10001000_ql80_

 

https://youtu.be/tC7NCSCH4xU?si=abYPPyiQ1OOnmsOd

2024年6月 1日 (土)

コルトレーンの柔らかなブルースもいいね    1958年演奏「セッティン・ザ・ペース」の「おもかげ」

小雨模様の月末、昼は冷やし中華か、カルボナーラか、はたまた焼きそばか、ナポリタンかーそれとも、ラーメンか、天ざるうどんか―(いずれも麺類なのですが―)少し迷ったが、結局、ざるうどんに。BGMはコルトレーンの444484287_7503795629749219_2624424650846 「セッティン・ザ・ペース」(1958年録音 全4曲)があったので、BGMに。すると、いやはや、最初のブルース「おもかげ」がなかなか聴かせる。コルトレーンとブルースはあまりなじみがなかったが、こんな柔らかな吹き方もしているのか、と、思ったことだった。コルトレーンというと、ハードな演奏というイメージがあるので。なので、今になって、コルトレーン再発見というのは大げさだが、少し再認識したかなと。

2024年5月31日 (金)

いずれ観たい 5月31日公開の映画「トノバン」  音楽家・加藤和彦の軌跡をたどるドキュメンタリー

たまたまfacebookで加藤和彦の軌跡をたどるドキュメンタリー映画「トノバン」が5月31日公開だということを知った。愛称が「トノバン」とあるとは私も知らなかったがー(どうしてトノバンなのか?)。ともれあの「イムジン河」「悲しくてやりきれない」「あの素晴らしい愛をもう一度」などの「フォーククルセダース」から「サイクリングブギ」や「タイムマシン」などのりのいいロックの「ミカバンド」へ。ともあれ天才音楽家だと思っていたが、若くして自死してしまったのは残念。それが2024年、どうして映画に?ーということも知りたいが、青春時代はフォークルの音楽も生活のひとつだったので(「風」や「花嫁」などの「はしだのりひこととシューベルツ」もだが)、ぜひ観たいなとー映画紹介をネットから以下に転載します。予告編は1分間ほどと非常に短いが、その雰囲気だけはわかる。5月31日、舞台あいさつがあったよう。twitterなどで知ることができますー。
(以下はネットから)

日本のポピュラー音楽史に残る数々の名曲を生んだ音楽家・加藤和彦の軌跡をたどったドキュメンタリー。

「ザ・フォーク・クルセダーズ」や「サディスティック・ミカ・バンド」など時代を先取りした音楽性で多くの人々に影響を与え、「トノバン」の愛称で親しまれた加藤和彦。日本初のミリオンヒットを生んだザ・フォーク・クルセダーズの結成秘話、世界進出を果たしたサディスティック・ミカ・バンドの海外公演やレコーディング風景をとらえた貴重な映像、日本のポップスの金字塔といわれる“ヨーロッパ3部作”に隠された逸話などを紹介。さらに、不朽の名曲「あの素晴らしい愛をもう一度」を新たにレコーディングし、さまざまなジャンルのミュージシャンによって進化する楽曲の姿を映し出す。

ミュージシャン・高橋幸宏が加藤に寄せた思いから映画の企画が立ち上がり、「SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬」の相原裕美が企画・監督・プロデュースを担当した。

2024年製作/118分/G/日本
配給:ナカチカピクチャーズ
劇場公開日:2024年5月31日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト



監督
相原裕美
企画
相原裕美
構成
相原裕美


  • きたやまおさむ

  • 松山猛

  • 高梨美津子

  • 朝妻一郎

    Photo_20240601000101

2024年5月29日 (水)

今も緊張感が広がる1957年12月の演奏   マイルス・デイヴィス「死刑台のエレベーター」

Uccu99012_vau_extralarge このところ、深夜になって聴いているのが、マイルス・デイヴィスが手掛けた映画音楽「死刑台のエレベータ―」(完全版 全26曲)。解説によると、1957年12月4日、5日の演奏。マイルスが手掛けた映画音楽は7作品あるそうだが、その最初の映画音楽だという。監督はルイ・マル。ヒロインはジャンヌ・モロー。監督もヒロインも駆け付けたスタジオ内のスクリーンに映し出される主要な場面に合わせて演奏が進められたという。なるほど、確かに、この演奏を聴いいるだけで、緊張感ある映画の場面が浮かんでくるー。それがほかのJAZZを聴いているのと何だがちょっと違う感覚を覚える理由なのかもしれない。

https://youtu.be/YlSGNvtvGVU?si=7B_PrFXtuUDueX0p

2024年5月26日 (日)

ゆったりした午後には「ジャズで聴くクラシック」     亡くなった友人を偲ぶ「別れの曲」など12曲

ゆったりした午後に利くにはもってこい。「ジャズで聴くクラシック」。「G線上のアリア」「パッヘンベルのカノン」「別れの曲」「亜麻色の髪の乙女」「悲愴」「ジムノペディ第1番」など12曲。いつか聴いた曲ばかりでもあり、のんびりするにはいいね。なかでも「別れの曲―12の練習曲第3番ホ長調より―」(ショパン)が印象に残る。最近、親しい先輩の友人を亡くしたからか?ー。 Jazz44484153_7485950164867099_9187718780

2024年5月19日 (日)

夢幻と日常の境界に移ろいゆく精妙で希薄な   ダニエル・コピアルカ演奏「ジムのペディ」

環境音楽の元祖、エリック・サティの「ジムのペディ」ー。それを導入部にしたバイオリニストのダニエル・コピアルカがフルートやハープ、シンセサイザーなどと演奏。気がつくと聴いていることがある。「三つのジムのペディ」「青い影~G線上のアリア」「ミスティーク」。解説では「夢幻と日常の境界に移ろいゆく精妙で希薄な旋律と和声ーコピアルカはこの『歴史的名曲』を素材に大胆にニューエイジ的解釈をほどこした」。うーん、なるほどね。 444137530_7451586641636785_5057075167773 444500485_7451586638303452_5119725529603

2024年5月10日 (金)

とにかく山下久美子のこの元気さは格別です    ザ・ベストテン3位を記録した「赤道小町ドキッ」

ザ・ベストテン3位だったことがあるヒット曲だったのだね。とにかくこの山下久美子の元気さは格別。私は「瞳いっぱいの涙」も好きなのだがー。というわけで、facebookにアップされていた「赤道小町ドキッ」について、ウィキペディアの解説をアップして懐かしむことにしましたー。

赤道小町ドキッ
山下久美子  シングル
初出アルバム『Chronologic Singles Side:A Collection
B面 トラブル99ナイティーン・ナイン
リリース
規格 EPレコード
ジャンル ロック
テクノ歌謡
レーベル BLOW UP/日本コロムビア
作詞・作曲 松本隆(作詞)
細野晴臣(作曲)
チャート最高順位
山下久美子 シングル 年表
雨の日は家にいて
1981年
赤道小町ドキッ
1982年
マラソン恋女
(1982年)
公式音源
「赤道小町ドキッ」 - YouTube
 
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赤道小町ドキッ」(せきどうこまちドキッ)は、1982年4月1日にアルバム『抱きしめてオンリィ・ユー』と同時に、日本コロムビアからリリースされた山下久美子の6枚目のシングル。同年夏のカネボウ化粧品キャンペーンイメージソング。

作品概要[編集]

エピソード[編集]

  • 松本隆と細野晴臣が後にインタビューで語ったところによると、この曲は詞先行で作られ、早い段階で詞は完成していたものの、曲部分はレコーディング当日になっても完成していなかった。CMソングになることが決まっていたため、レコーディングの延期は出来ない状態の中、細野がスタジオで曲の骨格を作り、レコーディングでドラムスを担当した高橋幸宏、ギターとアレンジを担当した大村憲司の3人で何とか完成にこぎつけた[3]
  • 当時山下のディレクターだった福岡智彦が「『赤道小町ドキッ』がこれまでの山下の方向性とギャップがあり過ぎる」と判断したため同時発売されたアルバム『抱きしめてオンリィ・ユー』にはあえて収録せず[4]、代わりにB面曲である『トラブル99ナイティーン・ナイン』が収録された。
  • のちに、福岡は「(『赤道小町ドキッ』を)普通は入れますよね。ヒットの可能性が高いシングルなんだから、アルバムの売上を引っ張ることを目論むのが当然。今思うと、よくコロムビアが許しましたね」と懐古し、「アルバムもある程度は売れましたが、『赤道小町ドキッ』が入っていたら、たぶんもっと売れたんでしょうね」と語っている[4]
  • 曲のヒットを受け、山下は当時多くの歌謡番組に出演した[注 1]TBSテレビザ・ベストテン』には、1982年5月27日に「今週のスポットライト」で初出場、のち10位以内にランクインを果たす[2]。また、1982年7月8日放送時に最高位の第3位にランクされた際には本物の象の背に跨り歌を披露したが、これは『ザ・ベストテン』のスタッフが原始人のような奇抜な衣装を着てきた山下にヒントを得たもので、象は2週間かけて手配した[5]。山下はのちに「あのころはわけもなく突っ走っていた。自分が楽しくないと、人も楽しませられないってね」と語っている[5]

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