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「霧降文庫」

2020年7月 3日 (金)

第二、第三のゴジラがまた来るかも   思想としての〈新型コロナウイルズ禍〉

 Img_3943 いま人は、ウイルスは一世紀にいっぺんぐらいしか襲ってこないと思っていますが。ウイルスに感染しやすい状況になっているとすれば、そんなことでは済まされません。それに振り返ってみれば、新型コロナに先立ち、SARSやMERSがあったのですから。一世紀に一度どころか、21世紀になってすでに三度目の新型ウイルスの流行なのです。これからはもっと頻度が高まるかもしれない。そのたびに現在のような大規模な封鎖をしていたら、大変なことになります。朝日新聞記者の太田啓之さんが、僕との私的なやりとりの中で、最初の「ゴジラ」で、志村喬が演じる山根博士が最後に「第二、第三のゴジラがまた来るかもしれない」と言っていたのを思い出す、と話していました。ゴジラのように第二、第三のコロナが来るかもしれないと。

「不可能なことだけが危機をこえる 連帯・人新生・倫理・神的暴力 」大澤真幸(社会学者) 『思想としての〈新型コロナウイルス禍〉』

2020年7月 2日 (木)

二つの「緊急事態宣言」の中で   武藤類子

Img_4056 新型コロナ感染拡大という事態は、すでに「原子力緊急事態宣言」が発令されたままの福島にもうひとつの「緊急事態宣言」を重ねることとなった。それは原発事故を経験した被害者にとって、当時の多くのことを想起させる。外には出ない、マスクをする、必死で情報を探す、迫り来る不安と闘う。コロナ感染が広まった初期の頃は心的な抑圧がとても大きかった。

 でも、次第に「原発事故」と「コロナ感染拡大」は、共通のことと違うことがあるのに気がついた。政府は人々がパニックを起こすのではないか、と恐れ真実を隠す、検査をなるべくやらず正確な罹患者を明らかにせず矮小化する、場当たり的な施策で最も弱いものたちが犠牲になる、専門家の意見が政治の力で曲げられる、惨事を利用した便乗型の資本主義が利権を求めて台頭するなどが共通する点だ。

 違うところは、感染拡大のスピードが速く被害が分かりやすい。コロナ禍の当事者は日本全体であり、圧倒的に多い、突然の休校要請や検察庁法改正案の時のように、政府が法と権限を無視し、強行することへの国民の抗議が大きく現れてきたことだ。

武藤類子(福島原発告訴団 団長)「とめよう!東海第二原発 首都圏連絡会」会報第4号(2020年6月)「二つの『緊急事態宣言』の中で私たちが生き延びるのは『真実を知り、助け合う』こと」

 

 

 

 

 

2020年7月 1日 (水)

世界の死者50万人 感染者1000万人

 

 新型コロナウイルスによる世界の死者が29日、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計で50万人を超えた。感染者も累計で1千万人以上に達している。感染者は欧米の先進国を中心に急増してきたが、6月になって新興国と途上国の累計が上回った。現在は毎日の新規感染者数の約75%を新興・途上国が占めており、感染拡大は新たな局面を迎えている。

 同大によると世界の累計の感染者は28日までの集計で1014万5791人。国連の基準に基づいて世界各国を「先進国」(36カ国)と、その他の「新興国・途上国」とに分けると、感染者は先進国が約429万人、新興・途上国が約585万人になる。ブラジルやペルーなど中南米諸国での増加が最も目立ち、インドなど南アジアや中東、アフリカ諸国でも徐々に感染者数が増えている。

朝日新聞2020年6月30日(火)1面トップ記事

 

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2020年6月30日 (火)

コロナ危機をうまく乗り切る  感染症ー広がり方と防ぎ方ー

 

 

Img_4055 社会におけるウイルス伝播を防ぐために集会中止や休校は有効であるが、いつまでも続けるわけにはいかない。日常生活のなかでウイルス伝播を妨げることが重要である。そのためには日本人の清潔行動文化を国民が意識し、かつそれを有効に活用することである。エンベロープ(ウイルス粒子の最も外側に位置する膜状の構造)を持つウイルスは一般的に高温多湿の環境で不活性化されやすいので、梅雨期から夏になれば接触感染の効率は低下するだろう。また軽症・不顕性感染で免疫を獲得した人たちが増えれば、感染は広がりにくくなる。そして実効再生産数が1・0以下になれば、流行は終わる。新型コロナウイルスが世界中に広がるなかで、日本人はコロナ危機をうまく乗り切るのではないだろうか。

 井上栄「感染症ー広がり方と防ぎ方ー」(中公新書、2020年5月15日増補版3版、234頁)

2020年6月29日 (月)

「結果オーライ」はやめよう ジャーナリスト「視角」

 

 まだ終息していないコロナウイルス・パンデミックだが、「日本モデルは成功した」などといい加減な首相の発言を放っておく訳にいかない。いまになっては否定しても始まらないが、ことは人の命に関わること。明らかな間違いで亡くなった人もいるのだ▼失敗の代表はPCR検査の制限。試料や人員など、やむを得なかった面があるとしても「発熱4日」、「症状が出たら・・・」とかの基準や運用は問題。医療現場も混乱させた。感染症の指定に問題があり、早くから指摘された検査態勢やべッド確保など「予防」のインフラの不備は決定的。「宣言」を印象づけるための特措法改正も不要だった▼いきなり・独断・権限もないままの学校休校宣言。五輪聖火の採火とリレー開始までの終息を狙ったが、現場も社会も混乱させ「必要なかった」の声が広がっている▼愚策もある。マスクの配付。郵便配達員がポストに入れた。社員寮でも会社でもポスト1つなら一袋。逆に住んでいなくてもポストがあれば一袋だったらしい。締めて466億円。それで人気が上ると考えた首相と側近の思考の貧困だ▼国民の多くは日本の医療に「皆保険だし技術も制度も世界一」と信じていた。だが、経済・効率第一主義が医療を細らせた。保健所は半減、医師、看護婦、スタッフは抑制、病院の統廃合、基礎研究は絞られっぱなし・・・・。その結果が「医療危機」だ▼「何とかなった」「結果オーライだ」はやめよう。間違いは間違いと正し、「第二波」前に改める。「総括」とはそういうことだ。

 

「視角」 日本ジャナリスト会議(JCJ)会報 Img_4053 「ジャーナリスト」747号6月25日

2020年6月28日 (日)

文明をレントゲンにかけている  コロナの時代の僕ら

 

戦争が終わると、誰もが一切を急いで忘れようとするが、病気にも似たようなことが起こる。苦しみは僕たちを普段であればぼやけて見えない真実に触れさせ、物事の優先順位を見直させ、現在という時間が本来の大きさを取り戻した。そんな印象さえ与えるのに、病気が治ったとたん、そうした天啓はたちまち煙と化してしまうものだ。僕たちは今、地球規模の病気にかかっている最中であり、パンデミックが僕らの文明をレントゲンにかけているところだ。数々の真実が浮かび上がりつつあるが、そのいずれも流行の終焉とともに消えてなくなることだろう。もしも、僕らが今すぐそれを記憶に留めぬ限りは。

パオロ・ジョルダーノ『僕らの時代』コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと (早川書房、108頁)Img_3953

2020年6月27日 (土)

戦時下と重なる「新しい生活様式」  大塚英志

Img_4045

http://blog.with2.net/ping.php/1039354/1276351267

ー専門家に言われると、やはり説得力があります。

「コロナ騒動で、専門家会議が冗舌に語ったのは『新しい生活様式』という学級会みたいな『きまり』でしかなく、専門家が専門の言葉を放棄して『ただの人』として発信していることが少なからずありました。そういう、科学という専門性の後退が実は今回起きた気がします」
 「例えば、日本の新型コロナによる死亡率が、欧米とくらべて低いことを『日本人の行動様式』や『日本文化』に帰結させる主張が盛んに語られはじめました。時にそれを専門家が語るのも側聞しました。東アジア圏にはもっと死亡率が低い国もあるのに、です。なるほど、『生活』や『日常』は文化の基盤のように思えますから、コロナ感染が悪化しなかったことは『日本スゴイ』的な精神論・文化論に飛躍しやすい。『ジャパンミラクル』といった国会議員がいましたが、コロナ文化論は、ほとんど『神風が吹いた』に近い次元に行きかけている。そもそも、自画自賛的な日本文化論など大抵、眉唾物(まゆつばもの)です」


――コロナに感染する恐怖を前にすると、自粛や新しい生活様式にはあらがいにくい雰囲気があるのも事実です。


 「コロナ禍が過ぎ去った時、自粛や新しい生活様式に、『あれは医学的根拠がなかった』とか、『やり過ぎ、無駄だった』という批判が出てくるでしょう。すでに散見します。そして、『あの時、だれがあんな馬鹿げたことを言ったのか』と『戦犯』探しが始まる。その時、『じゃあ、あなたは何で従ったのか』と問われたら、大抵の人が、『反対できる空気じゃなかったからね』と弁明するのでしょう。それは、かつて戦争に向かう『空気』に流され、沈黙し、戦後になされた弁明と同じじゃないですか?」
――では、どうすればいいのでしょうか。
 「違和感を感じるのなら、『いやだ』『気持ち悪い』って言えばいいんですよ。僕は『自粛』や『新しい生活様式』や、そこにへばりつく『正しさ』が気持ち悪いから、そう公言しています。けれど、その気持ち悪さを、『気持ち悪い』と言えないような社会が、もっと気持ち悪い。『言えない』時点で、おかしいわけです。疫病対策として最小限すべきことと、そのどさくさで政治が生活そのものを改めることは、『同じ』であってはならないはずです。どういう形であれ、個人の生活の中に公権力が侵入してきたら、『従うのはいやなんだよ』というのは、民主主義の基本でしょ」

――コロナに感染する恐怖を前にすると、自粛や新しい生活様式にはあらがいにくい雰囲気があるのも事実です。


 「コロナ禍が過ぎ去った時、自粛や新しい生活様式に、『あれは医学的根拠がなかった』とか、『やり過ぎ、無駄だった』という批判が出てくるでしょう。すでに散見します。そして、『あの時、だれがあんな馬鹿げたことを言ったのか』と『戦犯』探しが始まる。その時、『じゃあ、あなたは何で従ったのか』と問われたら、大抵の人が、『反対できる空気じゃなかったからね』と弁明するのでしょう。それは、かつて戦争に向かう『空気』に流され、沈黙し、戦後になされた弁明と同じじゃないですか?」

――では、どうすればいいのでしょうか。

 「違和感を感じるのなら、『いやだ』『気持ち悪い』って言えばいいんですよ。僕は『自粛』や『新しい生活様式』や、そこにへばりつく『正しさ』が気持ち悪いから、そう公言しています。けれど、その気持ち悪さを、『気持ち悪い』と言えないような社会が、もっと気持ち悪い。『言えない』時点で、おかしいわけです。疫病対策として最小限すべきことと、そのどさくさで政治が生活そのものを改めることは、『同じ』であってはならないはずです。どういう形であれ、個人の生活の中に公権力が侵入してきたら、『従うのはいやなんだよ』というのは、民主主義の基本でしょ」

コロナ後の世界を語る 戦時下と重なる「新しい生活様式」 感染拡大せず「日本スゴイ」 80年前と重なる嫌な流れ

大塚英志 朝日デジタル6月20日 聞き手田中聡子

 

2020年6月26日 (金)

アフターコロナの世界が‐  堅達京子

 

 

 Img_4031_20200626171001 アフターコロナの世界がめざす方向性は、今までと同じでいいのだろうか?。もとより大量生産消費型の経済と猛烈なグローバル化、そしてそれに伴う自然破壊の加速が今回の災厄をもたらしたのだとすれば、この痛みをバネに、もっと持続可能な世界に転換していくのでなければ、犠牲となった方々や今も不条理な苦しみに耐え続けているすべての人々の苦労が水泡に帰すのではないか。

(略)

 だが実は、危機のただ中にある今こそ、誰もが生きやすく、働きやすい社会をめざして大胆な改革に挑むチャンスなのではないか。五箇さん(五箇公一・生態学者)もキーワードとして「地産地消」をあげておられたが、私も行きすぎたグローバル化を見直し、再生可能エネルギーによるネットワークといったエネルギー分野の変革も含めて、パンデミックや災害にも強い「分散型社会」をつくることが肝要だと思う。

堅達京子(けんだちきょうこ、NHKエンタープライズ・エグゼクティブ・プロデューサー) 『ウイルスVS人類』 おわりにかえて

2020年6月25日 (木)

普通の暮らしと貧困は紙一重 緊急事態解除1カ月

新型コロナウイルス対策の国の緊急事態宣言が全国で解除されてから、25日で1カ月。経済活動は徐々に再開され、街の人出は増えているが、「暮らし」が失われたままの人もいる。(井上裕一、川嶋かえ)

 「暮らしが突然白紙になってしまった。仕事をしていないと生きている意味もないと思い、気持ちもふさぎ込んでしまって……」
 都内に住む小林茉里子さん(36)が正社員として働いてきたのは池袋駅近くの園芸店だった。植物が好きで客との触れ合いも楽しかった。海外からの観光客も多く訪れていたが、感染拡大とともに減り、3月にはぱたりといなくなった。
 3月下旬。出社時に体温を測ると、平熱よりやや高かった。37・5度には達していなかったが、会社側から「帰宅して、自宅待機するように」と指示された。数日後、上司から「4月いっぱいで、退職になる」と電話で告げられた。
 店のスタッフの数はすでに減っていた。自宅待機から戻れる見通しは立たず、諦めの気持ちで退職した。
 月給は手取りで20万円弱だった。貯金はほとんどなかった。一人暮らしのアパートの家賃7万円に、光熱水費や携帯電話代……。家計はすぐに回らなくなった。4月に銀行のカードローンで20万円を借り、家賃や生活費に充てた。5月には国の無利子貸し付けで20万円を受け取ったが、新たな借金ができただけで、それも借金の返済ですぐになくなった。
 6月はじめ、アパートを解約した。いまは友人宅に身を寄せ、ハローワークで仕事を探す。宣言解除から1カ月たつが、正社員の募集はほとんどない。
 頑張って働いてきたのに、どうして突然、こうなったのか。普通の暮らしと貧困は紙一重だということを、身をもって知った。
 国の特別定額給付金10万円もまだ受け取れていない。育てていた多肉植物をネットで売った。たいした金額にはならなかったが買ってくれた人とのやりとりは「久しぶりに仕事をしたようなつもりになれて、少し気持ちが救われた」。いまの貯金残高は2万円弱だ。
 6月6日、全国の弁護士や労働組合などが電話相談会を開いたところ、全国で1217件の相談が寄せられた。「どう生きていけばいいのか」といった深刻な相談が目立つ。
 小林さんは「新型コロナで、私みたいな状況の人はたくさんいるはず」と話しながら、自分に言い聞かせるように語った。「経済がよくなるまで、気持ちだけは負けず、生き延びるしかないですね」

朝日新聞6月25日(木)社会34面 「もとの日常どこに、緊急事態解除1カ月」Img_4044 Img_4044

2020年6月24日 (水)

「新しい日常」のストレス管理法  「ウイルスVS人類」

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五箇公一(生態学者) 個人的なことで言うと、この1、2年は年の半分ぐらいは外を飛び回るような活動が続いていたんですね。それがこの3月からパタッと閉じてしまった。すると、突然、家と研究所に限定される生活に戻ってきたというか、それまで手が付けられなかった趣味などに没頭する時間ができた。人によって、何か物をつくったり、絵を描いたり、小説や映画を楽しんだり。ちょっと凝った料理に挑戦したり、いろいろなやり方はあると思いますが、いまの状況の中で、1人ひとりがそういった逃げ道というか、精神的な部分におけるストレスの管理法を見つけていくことも大事かなと。こういう事態はいつでもまた来るわけです。感染症に限らず、地震や台風などのいろいろな災害の可能性を日本列島はいつでも抱えている。そういった事態になっても慌てないで、今回のように行動がある程度制限された社会の中でも生きていくには、どうしたらいいかというトレーニングは欠かせないと思うのです。

新しい日常をいかに過ごすか 五箇公一 『ウイルスVS人類』(文春新書)第一部 未知の敵と闘うために 84頁~85頁

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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